Evidenceの学校

根拠(エビデンス)に基づく教育(Evidence-based Education)の発展を目指して!

発表。1年に1回で死亡率が31%下がる方法。テストでいい成績をとることが教育ですか?

2019年の研究で、1年に1回以上あることをしていると死亡率が14%も低く、毎月やっていると31%も死亡率が低いことが分かりました。
これを知ると小学校からやっているあの授業によりこの活動に興味を持たせることが大切になると思います…


そのある行動とはアート活動です。

 

 

2019年のこの研究では50歳以上のイギリス人、6710名を対象として、アート活動の頻度と死亡率の関係を調査しました。
BMJ(The British Medical Journal)という医学で権威のある雑誌にのった興味深い調査です。

 


この研究では、アート活動を劇場、コンサート、オペラ、美術館、アートギャラリー、展示会に行くと定義しています。

 


その結果、アート活動を全くしない群と比較して1年に1回以上行う群では死亡率が有意に低下していました。

 

 

ここで、疑い深い方なら、いやそんなことができるのは裕福な人々や、そもそも教育歴による違いによって影響されているだろう!とお思いになるでしょう。

 


しかし、しかしこの関係は、年齢や性別、社会的な要因などを調整しても(簡単に言いますと年齢や性別、社会的な要因が関係ないと考えること)この関連性は変わっていませんでした。なかなかインパクトがありますね…。

 

 

研究者たちは

アート活動は感情を制御することにより物事に対処する力(コーピング)を強化しることで、ストレスを緩衝し、創造性を構築することで、変化する生活環境に積極的に適応する能力が向上したのではないか。

と述べています。

 

 

もちろんこの研究には限界があります。
文化は国や地域により異なるため、この結果が日本人においても適応できるかはわかりません。

 


また、作曲や絵を描くことやダンスなど主体的な芸術活動は含まれていないのでそれらの効果はわかりません。さらに、結果をゆがめる要因(未知の交絡因子)がある可能性が否定できないため、この関連を決定づけることはできません。

 

 

しかし、主体的な芸術活動も同様の効果が期待できると思いますし、意味がないことはないように思われます。さらなる研究を期待しましょう。

 

 

最後に、「いやでも50歳以上の人々を対象にしているから意味ないだろ…」と思った方もいると思います。しかし、子供のころから芸術に興味を持つことで生涯にわたり芸術活動を行うきっかけになる可能性は否定できないと思います。そのためには学生の時だけでなくその後も学び続けられような働きかけが本来の教育なのではないでしょうか。この記事で、なぜ図工や美術、音楽を行うのか、一つでも根拠があると捉え方が変化すると思います。
参考になりましたらぜひ。最後に私も読んでいる美術の本とReferenceを示しておきます(私も芸術はすこぶる苦手ですが…大人になると新たな発見が出来るものですね)。
では…

 

Reference

The art of life and death: 14 year follow-up analyses of associations between arts engagement and mortality in the English Longitudinal Study of Ag... - PubMed - NCBI

 

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

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  • 作者:秋田麻早子
  • 発売日: 2019/05/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)