Evidenceの学校

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あれを変えるとやればできるようになる?

本日は、スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック先生が20年にわたる調査で実証した心理学についてお話します。

先生はまず、私たちは2つの考え方のどちらかであると述べています。
1つ目は「硬直マインドセット
これは、自分の能力は生まれ持って決まっているもので努力しても変わらないもの
と考える人です。
2つ目は、「しなやかマインドセット
これは、人間の基本的性質は努力次第で伸ばすことができる
と考えている人です。

考え方で何が変わるのか?と疑問になると思います。
しかしながら、実際に、デューク大学の研究者たちは、「苦労せずに何でも完璧」でありたいと望む女子学生(硬直マインドセットの学生)に不安や抑うつが蔓延していると警鐘を鳴らしています。
また、硬直マインドセットの人にとっては、結果が全てなので失敗や1位になれないとこれまでの努力の意味がなくなってしまうと考えます。一方、しなやかマインドセットの人は、結果はどうであり、その過程に意味を見出します。
そのため、硬直マインドセットの人は、新しいことに挑戦することや、難しい問題に取り組むことに憶病になりがちです。
キャロル・S・ドゥエック先生はこれから中学に進学するという生徒たちを対象に、マインドセットと成績の関連を調査したところ、「硬直マインドセット」の生徒たちは、中学入学直後から成績が低下していったのに対して、「しなやかマインドセット」の生徒たちは、成績が向上し続けていました。さらに、「硬直マインドセット」の生徒たちは成績低下の理由を「自分の能力のせい」や「教師の教え方のせい」など責任を転嫁するものも含まれていたそうです。

また、マインドセットの効果は生徒だけではありません。
ドイツのファルコ・ラインベルクは、教師のマインドセットの影響が生徒にどう表れるか調査しました。
「生徒の成績は1年を通してほとんど変わらない。」「生徒の能力に、教師が影響を及ぼすことはない」と考えていた教師(硬直マインドセット)のクラスでは、学年の初めに成績良好群にいた子は学年末にも成績良好群に、成績不振軍は学年末にも不振軍にいました。一方、「どんな子でも学力を伸ばすことができると信じている教師(しなやかマインドセット)は、学年の初めに成績良好群、不良群に関係なく、学年末には成績良好となていました。
つまり、やればできるという信念を持ち指導をしていた教師のものとでは、生徒の学力差がなくなっていました。ではこの教師たちは、どのように子供たちの心をとらえて動かしていたのでしょうか。

これについてはまた次にご紹介いたします。

参考にした本は教育について非常に興味深いことが多く書かれていますので是非一読することをお勧めします。先生方だけでなく、保護者の方々やビジネス、スポーツを行っている方々にも参考になる本だと思います。

 

マインドセット「やればできる! 」の研究

マインドセット「やればできる! 」の研究

 

 ぜひ、こんなことを知りたい!などご要望をいただけましたら可能な限り調査し共有していきますので、みなさんでまずは正しい知識を学んでいきましょう。
少しでもお力になれれば幸いです。
では…