Evidenceの学校

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最新研究でわかった牛乳の隠された効果とは!?

農林水産省が牛乳や生クリームの需要が落ち込んでいるため買ってほしいとのこと…
牛乳といえば毎日給食で出ていましたね。
私もあまり疑問に思わず小中と飲んでいましたが…
2020年に医学会のトップジャーナルハーバード大学のWalter C. Willettさんが牛乳と健康について121件の論文をReviewした論文を発表していました。
なかなか興味深いと思い読んでいたのですが…なかなかの驚きでした。

まずは、親に一度は言われたことがあると思うのですが
「牛乳は身長が伸びるから飲みなさい!」(それを信じて飲んでいたので筆者は大きくなれませんでした。[男性ですが身長163㎝です])
しかし、どうやら科学的にも牛乳で身長は伸びるみたいですね。
しかし、高身長というのは循環器疾患のリスクは下げるのですが、がんや股関節骨折、肺塞栓症のリスクが高いことが分かっているためなんともなんとも言い難いですね…

また、こんなことも言われたと思います。
「牛乳は骨を丈夫にするから飲みなさい!」(おかげさまで?まだ骨折はしていません)

しかし、4~8歳の子供たちを対象とした研究でも、カルシウム摂取量と骨密度は相関が見られませんでした。また、カルシュウム摂取量と股関節骨折との関連を調べたメタ分析(簡単に言いますと質の高い論文を集めてさらに分析すること)では、関連がみられなかったことが報告されています。さらに、青年期の牛乳の摂取量と後年の股関節骨折のリスクを調べた研究では、男性で、1日1杯牛乳の消費量が多くなると股関節骨折のリスクが9%高くなることが報告されています。つまり、カルシウム取っていても骨折しにくいとはいえないということです。これはなかなか衝撃的です。

また、体重や肥満に牛乳の摂取は関係するのかについてみると、牛乳も乳製品も原料などの効果は見られないようです。発酵したばかりのヨーグルトなどは肥満の予防や腸内微生物叢への影響から健康に良い可能性が徐々に明らかになってきていますが、ヨーグルトを食べる人たちの生活習慣など他の要因の可能性もあると研究者たちは言及しています。

これは子供たちというよりも先生方や保護者へという感じですが、
牛乳にはカリウムが比較的に多く含まれているため、血圧を下げるのではないかと考えられているのですがこれに関してはまだわからないみたいですね。しかし、飽和脂肪はLDLコレステロールを増加させるため、低脂肪乳を摂取したほうがよいそうです。糖尿病に関しては牛乳が関連しないとしたものや関連が弱いとの報告が多いようですね。

ただ一番注目すべきは、牛乳の消費がアトピーの悪化や、喘息、湿疹、食物アレルギーにつながる可能性があることが示唆されています。

このように牛乳にはメリットもデメリットもあるのですがやはり子供たちを対象にした質の高い研究は少ないのが現状みたいですね。
研究者たちは

牛乳の消費が子供たちに及ぼす影響は明確ではなく、データは限定されている。牛乳は栄養素濃度が高いため、食事の質とエネルギー摂取量が低下している地域では有益である。しかし、一般に十分な栄養がある集団では、牛乳を大量に摂取すると、後年での骨折のリスクが高まりなどが懸念される。

と述べていますね。
しかし、やはり牛乳に含まれるカルシウム、ビタミンDは重要ですので研究者たちはカルシウムはケール、ブロッコリー、豆腐、ナッツ、豆などで摂取し、ビタミンDサプリメントがあると述べていますので他の摂取の方法も参考になるかと思います。

もちろん今回の論文で牛乳は悪だ!とは全くもってい言いきれません。観察研究ではどうしてもバイアスがありますし、青年期から生涯にわたる研究はなかなかできませんので。ただ、牛乳というよりはヨーグルトを買ったほうが健康には良いのではないかな…という感じですね。

最後に、ご要望などございましたらできる限り調査しお伝えしますのでぜひ(学校に関係なくても全くもってかまいません…)
では…

Reference 

Milk and Health. - PubMed - NCBI