すべての学校関係者が知っておくべき事実。あなたは新型コロナウイルスに対する学校閉鎖の効果を答えられますか?
学校閉鎖が新型コロナウイス対策として有用なのでしょうか?
今回は2020年4月6日に医学のトップジャーナルであるThe Lancetに「COVID-19の感染率に関して学校閉鎖の有効性や費用対効果はどうなの?」といこうとまとめた論文(Systematic review:簡単に言いますと質の高い論文をまとめたものでエビデンスレベルが高いもの)が掲載されました。
COVID-19の影響で現在107の国が学校閉鎖を行っており、8億6200万人のこどもたちが影響を受けているといわれています。なかなか深刻ですね…
感染症というとなじみ深いのはインフルエンザですが、インフルエンザに関しては学校閉鎖が有効というSystematic revieの論文が多く発表されています。しかし、以前流行したSARSやMERS、今回のCOVID-19において学校閉鎖が効果的かはまだはっきりとしていないんですね。
また、インフルエンザにおいて学校閉鎖が効果的であることは言われていますが、学校が再開すると再び感染が急増したという証拠もあり、学校の再開だけでなく、閉鎖の適切なタイミングにつていも正直分からないところです。
また、ただ学校閉鎖をすればよいというものでもなく、学校閉鎖に加えて親が自宅で仕事をすることが大切になります。仕事による接触を減らせるかなのですが。
しかし、これには親の仕事の生産性の低下、医療従事者なども仕事ではなく育児をしなくてはならない、脆弱な祖父母への影響、そしてもちろん教育への影響、給食が重要な栄養源である子供たちへの栄養問題、社会的孤立など多くの問題を引き起こすことが報告されています。
しかし、都市全体ではなく部分的な学校閉鎖や生徒間の距離を広げること、学校の開始や休み時間をずらすなどの方法は社会的な混乱を減らしかつ集団発生において効果的であることも報告されています。
ではコロナウイルスでは?
これまでインフルエンザに対しての学校閉鎖の効果をお話しし来ましたが、実際にコロナウイルスではどうなのでしょうか?
現在、わが国においても学校閉鎖が行われていますが、伝播が成人よりも子供が多く寄与するなどCOVID-19もインフルエンザと同様なものと仮定して行われています。
しかし、現状では子供たちの感染は予想されたものより低くという報告や成人と同等であるというものなどエビデンスが確立されていません。(これは本当に子供たちでは感染リスクが低いのか、無症状や軽度な感染なのか、中国の調査が多いため、一人っ子政策などの集団の影響なのかわからないためです。)
実際に、中国では学校を通じてCOVID-19が伝播するとした証拠はほとんどありませんが、流行していた時には中国は旧正月であったためにもともと学校がやすみであったためという可能性が大いにあります。
一方、台湾では、COVID-19の蔓延を効果的に抑えていると世界的にも称賛されていますが、旧正月を2週間延期しただけで、学級閉鎖や学校閉鎖には基準をもうけ、現在授業を再開しています。
このような現状から、学校閉鎖はCOVID-19に実際に効果があるの?ということをRussell M Viner博士らは調査してくれたのですね。
前置きが長くなってしまったので結論はまた次回に。
感染症が流行すると学級閉鎖や学校閉鎖をすることがなんとなく当たり前と感じていますがそれはなぜか…学校関係者であればご存じですよね?と言われた時に答えられるでしょうか?2020年の研究では…というように根拠をもって回答できることも必要だと思います。
では、続きはのちほど…
Reference
https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30095-X/fulltext