学校閉鎖。成果は約束されていない。
では引き続きCOVID-19の感染率に関して学校閉鎖の有効性や費用対効果はどうなの?という問題に関してですが、その背景を知っていただいたほうが理解しやすいと思いますので以前の記事もぜひご参照ください。
実際にこの研究では616件の研究から質の高い16件の研究を取り上げまとめています。まだまだCOVID-19についての調査報告は少ないのでSARSの際の学校閉鎖の研究なども含まれています。また、査読されていないものも含まれていました。そのためこの研究が全てを決定づけるというわけではありません。
この研究の結果、やはりデータが不足していることもあるので学校閉鎖の有効性に関するデータや費用対効果はわからないと研究者たちは言っております。
中国ではCOVID-19の制御に学校閉鎖が関与した可能性が高いと結論付けている論文がありますが、中国や香港では一斉に学校閉鎖を行ったため、学校閉鎖を行っていない比較対象がないために結論を裏付けるデータがないことも示されています。
しかし、これらの論文を調査し研究者たちは
入手できるデータはまだ少ないが、学校閉鎖は感染症の減少に対しての影響は小さく、学校閉鎖に伴う経済的なコストと潜在的な害は非常に大きい
と述べています。
COVID-19はインフルエンザとは異なり、子供も成人と同様の割合で感染しているか可能性がありますが、軽度や無症状なために咳やくしゃみを通してウイルスを広める可能性が低いことも考えられます。しかし、データが不足しているため結論付けることはできません。
また、現段階では、COVID-19に対する国をあげての学校閉鎖の効果を支持する証拠は弱く、学校閉鎖が経済的、社会的に重大な影響をもたらす可能性があることが示唆されています。
研究者たちも述べている通り、
学校閉鎖は感染症の蔓延を減少させる常識的な方法であると考えられます(インフルエンザのように)。しかし、長期的な学校閉鎖は非常にコストがかかるため、学校閉鎖をするにしても実際に効果的かはわからないという不確実性を認知している必要があります。
実際に、学校閉鎖を行うことで、医療従事者も育児に専念する必要に迫られ、医療システムの維持にも影響することが考えられます。
さらに、教育は国の将来的な労働者の健康と富の予測因子の1つであるため、学校閉鎖による教育への影響が若者の健康、将来の国の生産性に与える影響は定量化できません。教育に国の将来がかかっていることがよくわかります。教育に携わることはつまり、長い目で見て日本の発展に繋がる重要な職業ということが改めて分かります…
これらのことから、
1.現時点では学校閉鎖をしてもCOVID-19の感染拡大抑制にはあまり影響しない可能性がある。
2.また、現時点ではデータが少なく詳細が分からないため、COVID-19においてもインフルエンザのように成人よりも子供への影響が高い可能性を考慮し、学校閉鎖を行った次第である。(先生方が学校閉鎖を決めたわけではないですが、全員が国によるものと理解しているわけではないためですね。)
といったところでしょうか。
それにしましても、さらに多くの研究が行われ、より効果的な方法が見つかり、一日でも早い終息を望むばかりですね…
今回のように、なぜ休校が行われたのか、それにはどのようなメリット・デメリットがあるのか知ることは重要だと思います。
また、この研究から出歩いてもよいということにはなりません。引き続き3密を避けることが重要だと思います。
今できることから始めましょう。夜明けが一日でも早く来るように…では…