Evidenceの学校

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あなたは運動が学習にどのように効果をもたらすか答えられますか?子供たちの学力を伸ばす最適の運動法とは

あなたは運動が学習にどのように効果をもたらすのか答えられますか?

また、どんな運動が学習によいのか答えられますか?

 

なんとなくは…という方が多いと思いますが、なぜと言われると…や、自信はないかな…と感じると思います。

 

実際に、運動しているほうが成績がよいことは以前紹介させていもらいましたので参考までに。

 

academykun.hatenadiary.com

 

 

では、本日は運動がどのように学習に効果を与えるのか、そしてどのような運動が効果的なのか「脳を鍛えるには運動するしかない」を参考に学んでいきましょう。

 

 記憶をする際に脳はどうなっている?

 

少しだけ脳の話をざっくりと説明します。

 

脳には多くの神経細胞が存在しておりこれをニューロンと言います(ご存じだと思いますが)

 

何かを学習するにはこのニューロンの結びつきを強化する必要があります。

 

その方法が反復して学習することです。

 

反復して学習することで、ニューロンニューロンの間をつなぐシナプスが大きくなっていきます。

 

さらに反復してくことで、ニューロンは木のように枝を伸ばしていき、シナプスが増え結合がより強固になっていくことが分かっています。(これをシナプス可逆性と言います)

 

シナプス可逆性を促進するものとは?

 

シナプス可逆性を促進するものがありまして、それがBDNF(脳由来神経栄養因子)というものです。

 

カール・コットマン先生は、マウスを運動させると運動していないマウスに比べてBDNFが増えており、長く走ったマウスほどその量が増えていることを明らかにしました。

 

さらに、2007年に人を対象にドイツで行われた研究では、運動前よりも運動後に20%も早く単語を覚えられ、BDNFと学習効果に相関関係があることが見られたと報告しています。

 

つまり、学習を促進するものにBDNFという物質が関わっていて、どうやら運動することによりいっぱい出てくるようだ…ということです!

 

では運動しているだけでよいの?

 

ということは…そうか!運動すれば記憶力が上がるのか!と簡単に結論付けてはいけません。

 

著者もこう述べています。

BDNFは、情報を取り込み、処理し、結びつけ、記憶し、つながりをもたせるのに必要な道具をシナプスに与える。これは、走りさえすれば天才になれるという意味ではない。

 

実際に、神経学者のフレッド・ゲージは

ただ走るだけでは、ニューロンは対象群と同じペースで死んでしまう。手持ちのニューロンが多くなるだけだ。それ生き残り、回路を作るには、その軸索に信号が流れなければならない。

と、述べています。

 

つまり、運動だけでなく私たちは学習をしなければならないということです(当たり前ですが、当たり前を考えるのはなかなか難しい…)

 

また、BDNFが放出される際にIGF-1(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮成長因子)、FGF-2(繊維芽細胞成長因子)というホルモンが血液・脳関門(簡単に言いますと、脳に有害なものが入らないようにしているところです。余談ですが、水俣病を引き起こす有機水銀などはここを通過してしまうので神経疾患になってしまいます)を通過して、学習に関する分子メカニズムを活性化すると考えられています。

 

わけわからん言葉が並んでやめてく…と思うかもしれませんが主にIGF-1だけに注目すれば大丈夫です。

 

これはインスリンと協力し、グルコースを細胞まで運ぶ役割を果たすのですが、さらに、運動中にBDNFが脳内にIGF-1の摂取を増やし、IGF-1がニューロンを活性化し、セロトニン(簡単にいうと気持ちを落ち着かせてくれる物質)やグルタミン酸ニューロンの結びつきに関わる物質)を盛んに作らせ、それらが作用することで記憶に関わってきます。

 

なかなか難しいですが今後も少しずつ解説していきますね(成長マインドセットで!)

 

どんな運動をすればよいの?

 

では実際にどんな運動をすればよいのでしょうか?

 

2007年の研究では最大心拍数の60~70%(最大心拍数は約220‐年齢です。)の強度で35分間運動すると、回答速度や創造性が上がったことが報告されています。

 

また、ラットを対象とした研究ですが、有酸素運動だけでなく、平均台などの複雑な運動を行うと小脳のBDNFが35%増えていたことが報告されています。

 

そのため著者らは次のようなやり方をすすめている。

心血管系と脳を同時に酷使するスポーツ(テニスなど)または、10分ほどきつい有酸素運動でウォーミングアップを行いロッククライミングやバランスの訓練といった酸素摂取量が少なく技能を必要とする運動を行うやり方だ。

 

しかし、これを見たみなさんは

「いやいや現場じゃできないよ。特に低学年では無理。そもそもロッククライミングができる学校ないでしょ。」と思ったことだろう。

 

そんな時には、様々な体の動きをするサーキットトレーニンが効果的ではないかと考えています。

 

サーキットトレーニングについては体育を専門とする方々なら深く知っているはずでしょう。

 

この運動では様々な動きを取り入れることが可能であるし、学年により種目を変えることで強度や楽しさも変化させることができる。

 

まさに、教師の腕の見せ所だと思います。

 

また、現在は子供たちが登校しないため、この機会に多くの先生と多くの動きをし、子供たちが楽しめるサーキットトレーニングを考えてみることも面白いと思います。

 

今回は、運動がどのように学習に影響を与えるのか、そしてどんな運動がよいのか解説していきました。

 

参考になったと思いましたぜひ拡散していただければと思います。

 

まだまだ運動の良いところがありますので順次お伝えできれば。では…